第13章 彼女のいない「家」

 

病院の廊下であの最悪の別れ方をして以来、古川寒弥は三日続けて須藤寧音の姿を見ていなかった。

まるで、この世から蒸発したみたいに。

電話は電源が落ちたまま、メッセージも既読にならない。彼の世界から、きれいさっぱり消えてしまった。

最初に湧いたのは、怒りと苛立ちだ。

――あの女、本気で「失踪ごっこ」をする気か?

だが時間が経つにつれ、怒りは少しずつ、もっと正体のわからない、そして何より耐えがたい感情に置き換わっていった。

虚しさ。

そう、虚しさだ。

かつて牢獄だと思っていた古川邸に戻り、寒弥はようやく思い知る。寧音の気配が消えたこの豪奢な「城」は、ひどく広く、ひどく冷たい。

...

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