第19章 暴走

 

古川寒弥は産婦人科へ駆け込んだ。

待合ホールは人で溢れている。だが、須藤寧音の姿はどこにもない。

男は正気を失ったように、産婦人科の隅から隅まで探し回った。ナースに止められても構わず、診察室のドアをいくつも押し開けて踏み込む。

けれど――返ってくるのは、同じ結末。

いない。

もう、行ってしまった。

古川寒弥は冷たい壁に背を預けた。長身が、ひどくみじめに見える。力が抜けたみたいに、肩が落ちていた。

胸の奥。いつもなら沈着で、拍動のリズムすら崩さない心臓が、いまは乱れきっている。規則も理性もなく、ぐちゃぐちゃに。

スマホを取り出し、須藤寧音にかけた。

……電源が入っていない...

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