第52章 ママが、ひいおじいちゃんを殺したんだ!

空が今にも崩れ落ちそうなほど重く、鉛色の雲が低く垂れ込めていた。空気には消毒液の匂いが漂い、胸の奥まで締めつけられるような息苦しさがまとわりつく。

古川辰の病室の前は、針が落ちても聞こえそうな静けさだった。

須藤寧音は薄い病衣のまま、廊下の長椅子に座っている。たった400cc採血しただけなのに、顔色は紙のように白く、唇には血の気がない。

三日。

救命処置室の扉の前で、自分の血が引かれ、あの子の身体へ流し込まれていくのを見てから――彼女は一言も発していなかった。

心臓ごと、あの冷たい針で何かを吸い取られた気がした。ぽっかり空いた穴に、冷たい風だけがひゅうひゅうと吹き込む。

魂を抜か...

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