第53章 家族を連れて、遠くへ消えろ

「あなたが、ひいおじいちゃんを殺したんだ!」

幼く尖った声が、いちばん無邪気で、いちばん残酷な悪意をまとって、須藤寧音の胸を容赦なく抉った。

その瞬間、長い廊下が、死んだみたいに静まり返る。

行き交っていた看護師も、患者の家族も、足を止めた。視線が一斉に集まる。ベッドの上で責め立てる子どもと、その言葉に血の気を失った女へ。

須藤寧音は呆然と古川辰を見た。幼い顔に浮かぶ表情が、古川寒弥と同じ形をしているのが、あまりにも痛い。

心臓が真っ二つに引き裂かれ、そのまま氷の海へ放り込まれたみたいだった。沈んで、沈んで、底へ落ちていく。もがく力さえ残らない。

この世界で、最後の最後まで微かに...

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