第22章

そのとき、不意にオフィスのドアが開いた。

入ってきたのは湊だった。黒のスーツを隙なく纏い、気品と冷気をそのまま人の形にしたような佇まい。

「俺だ」

淡々と告げた声が、しんと張りつめた空気をさらに冷やす。視線は隼人へまっすぐ落ち、その一瞬だけで胸を圧し潰すような威圧があった。

「一ノ瀬社長。うちの番組の出演者を切るつもりなら、まず俺に話を通すのが筋じゃないか」

湊の顔を見た瞬間、隼人の心臓がどくりと跳ねた。

それくらいの分別は、さすがにある。

一ノ瀬家が相手にできる相手じゃない。九条家には、到底。

それでも、美月のあの憎たらしい顔が脳裏に浮かぶと、意地だけで声を絞り出した。

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