第37章

蓮は久美の言葉をまるで聞いていなかった。虚ろな目で天井を見つめ、長いことしてから、ようやくゆっくりと視線だけを動かす。

久美を見た彼の声には、かすかな期待と焦りが滲んでいた。

「母さん……美月は? 俺のところに来た?」

蓮は無意識のうちに病室のドアへ目をやった。

まるで次の瞬間にも、美月が扉を開けて入ってくるかのように。

これまで何度もそうだったように、目を赤くして、自分を案じながら。

その瞬間、久美の顔から労わる色がすっと消えた。

声は、ガラスを爪で引っかいたように鋭い。

「見舞いですって? あの子があんたを笑いに来なかっただけでもマシよ! まだあんなののこと考えてるの? ...

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