第49章

美咲が救急車のあとを慌ただしく追いかけていく背中を見送りながら、拓真の瞳の奥に、わずかな嫌悪が走った。

だが、元を正せば火種は美月だ。あいつだけは、外野の顔をして逃がすわけにはいかない。

拓真はスマホを取り出し、美月の番号を表示する。通話履歴ではなく、予備の回線番号に切り替えて発信した。

コールが数回鳴って、ようやく繋がる。

『……どちら様?』

受話口から聞こえたのは、氷みたいに冷めた美月の声だった。

「美月! よくもそんな口が利けるな!」

拓真は歯を食いしばり、声を荒げる。

「おまえのせいで母さんが気を失った! 今、救急で運ばれて、病院で処置中だぞ! 満足か!」

一拍の沈...

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