第54章

二人の警官は顔を見合わせ、互いの目に浮かんだのは同じ「意外」だった。

拓真――?

彼らも一ノ瀬一族の資料は洗っている。一ノ瀬拓真が拘置中に暴行を受け、手足を折られて以来ずっと車椅子生活だということも把握していた。

それに、彼は確かに美月と衝突している。動機としては十分だ。

もし本当に拓真の犯行なら、美咲の口座を隠れ蓑にしたという筋のほうが、むしろ自然だった。

常識的に考えて、まともな人間が自分名義の口座で、雇い主への手付金なんて払うはずがない。

「君の話は、こちらで確認する」年配の刑事は調書をまとめ、ペンを置いた。「事実関係がはっきりするまで、君にはここにいてもらう」

そう言い...

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