第59章

隼人はスマホを手に取り、彩の番号を探し出した。

彩は美月の親友で、市中心病院の医師だ。

美月が電話に出ないなら、彩を頼ればいい。

気が合わない相手だが、拓真のためだ。今は耐えるしかない。

隼人は深く息を吸い込み、彩に発信した。

コールが数回鳴って、通話がつながる。

「もしもし?」

彩の声はどこか気だるげだった。

「一ノ瀬家の長男が、私に電話? 珍しいじゃない」

隼人は胸の奥の不快感を押し殺し、腹を括る。

「中村先生、少し用があって連絡した」

「へえ。わざわざ一ノ瀬家の長男さま直々に?」

彩は露骨に嘲る。

「どうせまた美月に嫌がらせでもしに来たんでしょ。言っとくけど、...

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