第102章

林の光が、消えていく。

清宮紬は木の幹に体を預けたまま、四十分近く歩き続けていた。左肩の出血はいったん止まっている。だがシャツの袖が傷口に貼りつき、一歩踏み出すたび皮膚が引きつれる。

立ち止まらない。

背後――遠くで、エンジン音がかすかに響いた。

清宮紬はすぐ身を低くし、灌木に身を沿わせるように横へ移動する。

音が、近づく。

枝葉の隙間から見えたのは、深い灰色の車だった。林の中の未舗装路を、じりじりと進んでくる。窓は全開。助手席の男が半身を乗り出し、懐中電灯を握っている。白い光の柱が草木を切り裂き、ぶつ切りに、こちらへ迫ってきた。

清宮紬は息を止め、枯れた灌木の下へ身体を押し込...

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