第114章

清宮紬は歯ブラシに歯磨き粉をのせたまま、もごもごと訊いた。

「どうしたの? 岩崎家がまた揉めた?」

「岩崎家? あんなの、とっくに終わってる!」高村美咲が声を張り上げる。「問題はあなたよ。『真夏』って名前が完全にバズったの!」

清宮紬の歯磨きの手が、ぴたりと止まった。

昨日、裁判所の外で記者が確かに「真夏」の名を口にしていた。

だが、その場を早く離れたくて、深く考えもしなかった。

「ボス、いま外がどれだけ狂ってるか、ほんとに知らないんですね」高村美咲は息もつかずにまくしたてる。「昨日の裁判所前の動画が上がった瞬間、あなた各プラットフォームのトレンド1位です。『立ち退き金8億を全額...

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