第116章

榊原冬真は彼女のすぐ傍らに立ち、その背後で森野耀が十数人の黒服ボディガードを合図ひとつで散開させた。ロビーの大扉は瞬く間に塞がれ、逃げ道は断たれる。

白石琴音が清宮紬の姿を認めた瞬間、目を見開いた。柱から手を離し、理性の糸が切れたように紬へ突進する。

「清宮紬! この疫病神! 恩知らず!」

森野耀がすっと手を上げる。二人の護衛が前へ出て、白石琴音を紬から三メートルほどのところで押さえつけた。

「離しなさいよ! 清宮紬! あんたがあんたの父親を牢屋に叩き込んだんでしょ! 金だけ持って外でいい顔して、こっちの生き死には知らんぷり!」

がなり立てる声と一緒に唾が飛び散る。

岩崎成夫は虚...

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