第20章

唐沢星也が市内屈指の病院であそこまで好き勝手にやれているのは、華々しい学歴だけが理由じゃない。背後に岩崎家がいる――それが何より大きかった。

彼がこの病院に入ったばかりのころ、白石琴音の顔色を一目見て「初期の脳梗塞」を疑い、即座に指摘した。あれで岩崎家の信任を勝ち取ったのだ。

だからこそ、清宮紬叔母の治療も、基本は唐沢星也が一手に引き受けている。

唐沢星也を見つけた白石琴音は、どこか殊勝な笑みを作り、手招きする。

「星也。こっちへ」

「妹の具合はどう?」

実際、清宮紬が以前渡したチョレイ由来多糖体を使ってから、叔母の容体は落ち着いた。むしろ、わずかながら上向きさえ見えている。

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