第22章

清宮紬は心得たように一歩引いたが、それでも相手の返答は耳に入ってしまった。

「明日の昼12時。料亭・八仙、2階の5号個室。遅れないでね」

言い終えるや通話はぷつりと切れ、代わりに「ツー、ツー」と無機質な音が続く。

榊原冬真の顔色がみるみる青くなる。相手に向けた怒りというより、電話を切られたこと自体が癇に障ったようだった。

清宮紬はおずおずと食べ物を差し出し、榊原の鼻先でふわふわと揺らしてみせる。

「これ、けっこう美味しいよ」

榊原冬真は黙ったままだ。

「ねえ、さっきの人の声、なんか聞き覚えあるんだけど。誰?」

榊原冬真は手を伸ばして受け取る。

「スピーカー切ったなら、音量も...

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