第33章

それを聞くと、しゃがれた声が一瞬だけ途切れた。

「ちょうど今、思い出したんですが、まだ――」

「話を逸らすな!」

今度は、電話の向こうの老人が急にふざけた調子へ切り替える。

「やだやだ。さすが先輩だ。俺が何を一番怖がってるか、よく分かってらっしゃる」

清宮紬の頬がぴくりと引きつり、顎のラインがきゅっと固くなる。

「くだらないこと言ってないで答えなさい。最近、Y市市立病院の院長から電話は来た?」

「来た。しかも一本じゃない」

瀬尾敬はあっけらかんと言った。

「金持ちの婆さんを診てくれって頼まれたけど、即座に断った」

清宮紬の声が沈み、言葉が一つひとつ尖る。

「その病気、あ...

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