第34章

岩崎成夫は書類を受け取ると、そこに並ぶ小さな文字を素早く追った。数行読んだだけで、眉間に刻まれていた深い皺が、ふっとほどける。

「よし……ようやく尻尾を掴んだ」

病室では、清宮紬が小さな椀を持ち、榊原成岡の口元へそっと寄せていた。だが成岡は唇をきゅっと結び、今すぐ飲む気はないらしい。

清宮紬は慣れた手つきで椀をテーブルへ戻す。

すると榊原成岡は慌てて布団を跳ね上げ、起き上がろうとした。だが傷口の痛みに顔を歪め、うぅっと唸って身動きが取れない。

「紬や。わしを、ちょっとはあやしてくれんのか」

「お前が二つ三つ、わしを笑わせてくれたらな。機嫌よう薬を飲むかもしれんぞ」

清宮紬は淡く...

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