第37章

さっきまで引いていた人だかりが、またざわめきに釣られて戻ってくる。

岩崎成夫は、四方八方から突き刺さる視線に全身を焼かれ、穴だらけにされるような心地がした。

だが、彼自身もわかっている。贈り物というのは、投げた水と同じだ。回収なんてできない。

ここまで来た以上、引くわけにもいかず、岩崎成夫は意地で追いすがった。

これほど大勢の前で、ここまでへりくだるのは初めてなのだろう。小川月奈の前にたどり着くより早く、こめかみにじわりと汗が浮いた。

汗は目尻に入り、ひりつく痛みが少しずつ表情筋を奪っていく。

そのせいで、岩崎成夫の顔は媚び笑いから、引きつった惨めな笑いへと変わった。

「小川部...

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