第63章

榊原冬真は慌てて書類を箱へ押し戻すと、立ち上がってそれをそっと突き返した。

「おじさん、おばさん……これは、さすがに受け取れません」

「もし、この財産を紬さんおひとりに贈るという話なら、口を挟みません」

「でも、二人への婚約の贈り物――とくに、あのネックレスのお返しとして、となると……重すぎます。いくらなんでも」

傍らの清宮瑠奈も、同じように目を見開いていた。

清宮家ほどの規模になれば、どこかの不動産ひとつ取っても最低で十億は下らない。まして「一部の家産」など、とんでもない額に決まっている。

書類の中身までは見えていない。けれど、冬真の反応だけで十分だった。間違いなく、桁が違う。...

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