第79章

車に戻った清宮紬は、胸の奥にざらつく疑念を抱えていた。

「どうしたの?」

渡辺七海は肩で息をしながら、震える指であのオフィスビルを指さす。

「さっきの男の子……私の兄さんだった。で、今の会長は叔母さん。あいつが言ってた『義姉さん』って――うちの母さんのことだ!」

息を吸い込み、七海は続けた。

「わかった。ロビーに叔母さんの目があるのを怖がって、わざと私を知らないふりしたんだ。……でも本当は、遠回しに知らせに来てくれた」

清宮紬は小さくうなずき、アクセルを踏み込む。車体がぐん、と前へ跳ねた。

「じゃあ、今の話だと……叔母さんが、お母さんのところへ揉め事を起こしに行ったってこと?」...

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