第8章

 顔を上げると、オーウェンがいた。

 深いグレーのチームジャケットに身を包み、落ち着いていて、どこまでも頼もしい。

 昔の私なら、さっきの――激昂してブレイクを容赦なく殴り倒した姿に震えあがって、距離を取っていたはずだ。

 でも今は違う。胸の奥にあるのは恐怖じゃない。守られている安心と、大事にされている実感だけ。

 この数年、私は必死に浮き輪を探して、しがみつこうとしてきた。ブレイクが、その浮き輪衣だった。

 彼に掴まってさえいれば、孤独にならない。捨てられない。そう信じていたのに。

 何度手を伸ばしても、思い描いた通りにはならなかった。

 幼い頃から私を受け入れてくれたハート...

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