第7章
刃先が志朗のシャツを突き破る。直後、どす黒い赤が滲み出し、純白の生地を染め上げていった。
志朗の両目は私を射抜くように見据え、その奥には病的な執着と絶望的な渇望が渦巻いていた。
彼は賭けに出ているのだ。
私の心に、彼への未練がほんの微塵でも残っていることに。そして、私がこの手で彼を刺すことなどできないということに。
だが残念なことに、彼の負けだ。
私が一切の躊躇なく手を放すと、彼の血にまみれたメスが床に落ちて、硬く乾いた音を立てた。
志朗の顔から、さっと血の気が引く。
デスク上の除菌シートを一枚抜き取ると、私は彼に触れられた指を一本一本、念入りに拭き取っていく。...
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