第20章 真田社長は彼女を代用品にしようとする

真田辰則は彼女の向かいに腰を下ろした。ラフで楽そうな格好をしているのに、この男はいつだってどこか肩に力が入って見える。

品があって、禁欲的で。

この店の空気とは、どうにも噛み合わない。

「俺はタバコ吸いに行ってただけだ。買ったのは秘書だ」

「へえ……」相馬蛍は腑に落ちた。だよね。真田社長が自分でこんなことするわけない。

臭臭鍋が運ばれてきた。ひとり一鍋。

真田辰則はストローでミルクティーのフタをぷすりと刺し、彼女の前へ置く。小鍋から立ちのぼる湯気の向こうで、低い声が落ちた。

「ゆっくり食え。火傷するぞ」

相馬蛍は目だけ上げる。

「社長は食べないの? お腹すいたって言ってたじ...

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