第22章 真田社長は一緒に酒を飲みたがっている

黄盛の言葉がまったく耳に入らなかったわけじゃない。ただ、「真田家」という単語だけが、妙に引っかかった。

黒いセダンがすっと停まり、後部座席のドアが開く。男が降りてきた。

同時に、バイクは別方向へ一気に走り去っていく。

「相馬蛍!」

ヘッドライトを背にした男がこちらへ駆けてきたせいで、表情が読めない。

蛍が振り向いた瞬間、柔らかな身体がそのまま熱い胸に落ちた。

見上げた端正な顔には、はっきりと焦りと心配が浮かんでいて――それがなぜか可笑しい。

「……あんただったんだ」

真田辰則は彼女を横抱きにして後部座席へ乗せ、毛布を引き寄せて包み込む。冷え切った身体をきつく抱きしめ、耳元で低...

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