第44章 黒木社長が来た

翌日の午後、日本へ戻り、S市に降り立つなり――相馬蛍は一本の電話を受けた。

その瞬間にはもう、タクシーに飛び乗っている。目的地はHJグループ日本支部のビルだった。

真田辰則は、目の前で彼女がするりと走り去っていくのを見送った。挨拶ひとつない。

その途端、表情がすっと冷える。

この数日、悪くない時間を過ごしたはずだ。

それに昨日、彼女はこっそり――まだ自分が好きだと告げてきた。

つまり、元に戻る気があるってことだろう?

なのに、着いた途端これだ。どうしてそんなに必死で距離を取る。

せめて名残惜しそうな視線のひとつでも、抱きつくくらいの甘さでも――。

彼女は、振り返りもしない。...

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