第61章 伯父さんはとてもいい人で、人をいじめたりしない

相馬蛍は書斎に籠もり、気づけば明け方の五時近くまで仕事をしていた。重たい身体を引きずるようにベッドへたどり着き、目を閉じた瞬間に意識が落ちる。

朝。けたたましい着信音が鳴り響いた。

「……いま何時よ」

相馬蛍は眉を寄せ、鉛みたいに重いまぶたをようやくこじ開ける。室内の光に目が慣れる前だというのに、ベッドの反対側からはやけに元気な声と、衣擦れの音が飛んできた。

「もう七時だよ。アラーム、十分も鳴ってたのにやっと起きた。すごいね」

江口霊はすっかり身支度を整え、彼女の前に立つと、海藻みたいに広がった髪をくしゃっと撫でた。

「もうちょい寝なよ。どうせ出勤は十時でしょ。梓哉は私、このきれ...

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