第84章 女同士の敵意

相馬蛍は降りるどころか、両腕で真田辰則の首にぎゅっと絡みつき、真田伊織ににこりと笑いかけた。

「悪いおばさんがね、ちょっとだけパパを借りたいんだけど……いい?」

「だめだめっ!」

次の瞬間、真田伊織が相馬蛍の髪をむんずと掴んだ。目に涙をいっぱい溜めて、わんわん泣き出す。

「ママ! パパ取られちゃう!」

「ちょ、ちょっと……髪引っ張らないで」

相馬蛍は痛みに目を細めた。

この子、見た目に反して力が強い。けれど腹は立たない。自分のパパを奪われそうになったら、そりゃつらい。相馬蛍はその気持ちが痛いほど分かる。

電話をしていた水原初歌の顔色がさっと変わり、駆け寄って真田伊織を背中に庇...

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