第89章 真田辰則の自作自演

真田司久は結局、来た。相馬蛍が三煎目の茶を淹れている、その最中に。

ボディガードの制服姿で、堂々と勝手口から入ってくる。

相馬蛍は一杯注いで向かいに置き、淡々と言った。

「私、明日も南波市に行くの。そんなに急いで、今夜わざわざ会いに来たわけ?」

顔を上げると、真田辰則にどこか似た輪郭が目に入る。

ただ、こちらは目つきの荒さが際立っていた。人を見下ろすような殺気。目尻の赤い泣きぼくろが、その凶相に拍車をかけている。

相馬蛍は茶をひと口含み、ふっと笑う。

「まさか……私を攫いに来たとか?」

外にいる護衛の中にも、十中八九こいつの目が混じっている。でなければ、こんなに容易く入り込め...

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