第107章 薬はどこから

雲田茜と賀川時が別荘に駆け戻ると、リビングのソファには賀川の父が杖をついて座り、顔をどんよりと曇らせていた。

その向かい側には、白鳥紗雪とその母親が陣取っている。

皆の中央には白いスーツケースが一つ。雲田茜のものだ。ケースは開け放たれ、中には正体不明の白い粉末が入った袋が鎮座していた。

茜と時は視線を交わす。二人の表情は平静そのものだが、その瞳の奥には悪戯っぽい光が宿っていた。

勝利を確信して得意満面の紗雪は、そんな二人のアイコンタクトになど気づく由もない。

「雲田茜、信じられないわ! この家がどれほどドラッグを忌み嫌っているか、知らないわけじゃないでしょう?」

紗雪は腕を組み、...

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