第300章 片桐佐希の怒り

支配人はそう言い終えると、携帯電話を取り出してさらに上の役職者へと連絡を入れた。一介のレストラン支配人に過ぎない彼に田中浩の連絡先など知らされているはずもなく、順を追って上層部へ報告していくしかなかったのだ。

そのプロセスは、ひどく長く感じられた。

待たされている間、雲田茜とその同僚たちは何事かと好奇心を露わにして周囲を取り囲み始めていた。

片桐佐希は、もうこれ以上この場に留まりたくなかった。野次馬は増える一方だ。今のところ、彼女が社長夫人であることを知ってか、誰もスマートフォンを向けて撮影しようとはしていない。だが、もし誰かが隠し撮りをしてマスコミに売り込んだとしたら、記者たちは彼女...

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