第304章 賀川時の調査

雲田茜が実家のグループ企業の社長に就任した以上、夫である賀川時としては、妻の前途を阻むあらゆる障害を排除してやるのが筋というものだ。

賀川時は雲田家の傘下にある三社を詳細に分析し、山積する問題点を洗い出した。だが、聡明な茜のことだ、これぐらいは自力で気づくだろう。だからあえて口出しはしない。彼がすべきは、別の仕事だ。

危険の芽は、すべて揺り籠の中で摘み取らねばならない。かつて茜に救いの手を差し伸べたミシェルといえども例外ではない。表向きは味方に見えるが、賀川時は彼女の身辺も洗うことにした。

「おい、そっちで掴んだほかのファイルも全部こっちに回せ。精査する」

賀川時はスマホ越しに短く命...

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