第62章 彼女の身内に目を付けた?

男を前にした時の女の勘というのは、往々にして鋭いものだ。鈴木翔太は、自分がすでに林原海子に怪しまれていることなど知る由もなかった。

もし彼女の内心を知れば、「女とはなんと不可解な生き物か」と嘆き、その推察力の恐ろしさに戦慄したことだろう。

そう、鈴木翔太は確かに林原海子に目をつけていたのだから。

鈴木翔太は高級レストランへと足を踏み入れた。そこでは賀川時が食事を摂っており、鈴木翔太はその向かいの席に腰を下ろすと、先ほどの出来事を報告した。

「あの田中瑶子め……遅かれ早かれ始末をつけてやる。あの女には散々迷惑をかけられたからな」

賀川時の瞳に、一瞬鋭い殺気が走った。

鈴...

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