第64章 お姉さんに感謝したい

雲田美咲は雲田茜の前を通り過ぎる際、その顔に浮かぶ得意げな笑みを隠そうともしなかった。

雲田茜は冷ややかに彼女を見つめるだけで、表情一つ変えない。

雲田美咲はそんな雲田茜など気にも留めず、舞台の中央へと歩みを進める。司会者が彼女にマイクを手渡した。

「雲田美咲さん、受賞の感想をお願いします」

司会者はそう言い残し、舞台を雲田美咲に委ねた。

雲田美咲はマイクを握りしめ、誇らしげに語り始めた。

「まさか私が受賞できるなんて思ってもみませんでした。というのも、私の出品作はすべて、姉である雲田茜の指導を受けて完成させたものだからです。私としては姉のほうが優れていると思っていたのですが……...

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