第78章 尋問

雲田茜は指元のダイヤの指輪を見つめ、あることに気がついた。これはかつて、田中瑶子がつけていた指輪だ。なぜ田中瑶子が手にギプスをしていたのか、その理由も合点がいった。指輪を奪うために、賀川時が彼女の指をへし折ったからだ。

「その指輪、気に入ったか? 俺の母の遺品なんだ。俺の妻となる女性にしか、つけることは許されない」

賀川時の言葉は、雲田茜の推測を裏付けるものだった。

ふと田中瑶子のことが脳裏をよぎり、雲田茜は慌てて賀川時を見た。

「田中瑶子をどうするつもり? やっぱり警察に通報しましょう。田中家の勢力は強大よ、あなたには荷が重すぎるわ」

雲田茜の案じるような眼差しに、賀川時...

ログインして続きを読む