第81章 出国

田中瑶子のあまりに無残な姿は、その場にいた者すべてを戦慄させた。そして、その非難の矛先は示し合わせたかのように、雲田茜へと向けられていく。

田中浩はICUのガラス越しに、変わり果てた娘の姿を見つめていた。その能面のような表情の下では、煮えたぎるような怒りが渦巻いている。

ベッドに横たわる田中瑶子は、静かに息をしていた。美しい髪は無情にも剃り落とされ、四肢を切断されたその体は、頭皮の静脈に繋がれた点滴だけが、かろうじて命を繋ぎ止めている状態だった。

田中浩は硬く瞼を閉ざし、目尻から一筋の涙を零した。この瞬間、彼は初めて悔恨の念に苛まれていた。もし自分が、無理にでも賀川時を追いかけるよう娘...

ログインして続きを読む