第86章 狩り

賀川時は断ろうとした。白鳥紗雪が雲田茜に敵意を抱いているのは明白で、二人の女性を一緒にするのは避けたかったからだ。

だが、彼が拒絶の言葉を口にするより早く、父親が口を開いた。

「悪くない提案だ。お前たち若者は、もっと色々な経験をすべきだよ。スマホばかり弄っていては目に毒だ。そう思わないか、雲田茜?」

賀川時の父は雲田茜に視線を向けた。

「異存はありません。ただ、猛獣に出くわさないか心配で……」

雲田茜は、賀川時の父の提案を無下にはできなかった。

そこで白鳥紗雪が口を挟む。

「雲田茜、安心して。今回行くのは合法的な狩猟場よ。いるのはウサギや鹿、山羊といった害のない野生動...

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