第87章 危険?

賀川時は白鳥紗雪と、その友人二人を連れて狩猟区画へと入っていった。

一方、雲田茜は檻の外に留まり、染色されたコアラをじっと眺めていた。

「コアラもオーストラリアの国宝よね。あっちの国宝――カンガルーは、国宝の中でも一番不遇なんじゃないかしら。毎年食卓に並ぶうえに、美味しくないなんて噂まであるし」

雲田茜は柵に寄りかかり、頬杖をつきながら、木の上で眠るコアラを見つめた。

しばらく眺めた後、雲田茜は大きく伸びをした。すっかり見飽きてしまったのだ。やはり本物のパンダではないし、そこまで愛らしくもない。

「ニュースじゃ、ワニや犬、ゾウまで白黒に塗ってパンダだって言い張る国もあるくらいだし…...

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