第99章 友の反目

カールはボディガードの腰にある拳銃を見て、びくりと震えた。さらに、その男から漂う微かな殺気を感じ取る。

こいつはもう、クソみたいな計画を実行する気になどなれなかった。彼はすぐに立ち上がると、自転車を担いで遠くへと走り去っていく。

ボディガードは地面から立ち上がると、その顔に再び二十四歳の大学生らしい無邪気な笑みを浮かべた。

「奥さん、あの少年は演技ですよ。たぶん、あなたが外国からの観光客だと気づいて、金を巻き上げようとしたんでしょう。助けたりしたら、逆に『突き飛ばされた』なんて言い出しますから」

その言葉に、雲田茜は驚きと怒りを同時に覚えた。

たとえボディガードの言い分を疑ったとし...

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