第117章 チャリティー晩餐会

南坂海乃はざっと目を走らせると、無表情のままスマホを閉じた。

野口凛がすぐ横から覗き込み、ちょうど画面の内容を見てしまったらしい。

「え、あいつ……本当に社長やめんの? 姉さん、離婚して正解だよ。ああいう男って一番腹黒いんだから」

海乃は小さく笑っただけで、何も言わなかった。黒谷優がいま、何を企んでいるのか――読み切れない。

家の圧に押されて本当に退いたのか。それとも、一度引いてから取り返すつもりなのか。

仮に黒谷優が転んだところで、黒谷家の長男であることに変わりはない。彼の事情なんて、自分が気にする筋合いではない。

デパートのフロアを歩いていたとき、海乃の視線がふと、一組のルビ...

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