第119章

村雨家については、秋田風も多少は把握していた。ただ、いくつかの事項をあえて藤宮弘也には報告していなかっただけだ。

藤宮弘也がダイニングに戻ると、桜井有菜はまだテーブルについていた。彼はスマホを彼女に手渡し、こう言った。

「今後、桜井家の件は私が処理する。もうすぐ新学期だ、勉強に専念しなさい。余計な心配はしなくていい」

桜井有菜はうつむき、少し考えてから藤宮弘也を見上げた。

「実は、進学しなくてもいいんです。師匠が海外研修のチャンスをくれて……大学入学共通テストを受けなくても済むんですけど」

桜井有菜のような秀才には、すでにいくつもの大学からオファーが届いている。ただ彼女自身には、海...

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