第143章

『ガイア』というコードネームで呼ばれることを、桜井有菜は好まなかった。ましてや目の前にいる、絵に描いたような悪党の口から発せられるとなれば、なおさらだ。

「何の話か分かりません。私には無理ですし、仮にできたとしても、あなたに手を貸すつもりはありません」

ディエの顔色が、みるみるうちに陰惨で恐ろしいものへと変わっていく。それでも桜井有菜は彼から目を逸らさず、微塵の恐怖も見せなかった。

次の瞬間、ディエが動いた。有無を言わさず桜井有菜の首を鷲掴みにする。

桜井有菜は息を呑んだ。男の手はまるで鋼鉄のように硬く、首を締め上げられると、骨まで砕かれてしまいそうだった。

「身の程知らずな奴め。...

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