第162章

桜井有菜はスマートフォンを手にふふっと笑い、枕に寄りかかりながら野原お婆さんに話しかけた。

「お婆ちゃん、藤宮弘也はいい人だよ。お婆ちゃんもあの人のこと、気に入ってたじゃない」

野原お婆さんは深くため息をついた。

「お婆ちゃんはただ、あんたを手放すのが寂しいだけさ。まったく、あんたはお婆ちゃんに似て頑固なんだから。こんな若さで男にたぶらかされて……世間には若い男なんて掃いて捨てるほどいるのに、選び放題じゃないか」

桜井有菜は声を上げて笑ったが、うっかり傷口に響いてしまい、痛みに顔をしかめた。

「お嬢様、大丈夫かい?」

桜井有菜のくぐもった痛がり声を聞き、野原お婆さんは心配そうに顔...

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