第172章

どこからともなく現れた土田グループが、青海の株式の四十七パーセントを買い占めた。その中には、渡辺誠治が保有していた三十パーセントの株式も含まれている。

社長の座に就いてからわずか三十分後に会社が倒産するなど、渡辺景一も夢にも思わなかっただろう。

青海全体が大混乱に陥る中、渡辺誠治は人々の前から姿を消した。

学校から出てきた桜井有菜は、スマートフォンのニュースを目にして、少し驚いたように秋田風を見た。

秋田風は微笑みながら桜井有菜に言った。

「藤宮さんから伝言を預かっております。青海の件はご心配なく。単なる目くらましだそうです」

桜井有菜は頷いた。渡辺誠治といえば、渡辺景一のことが...

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