第184章

カスクは窓辺に歩み寄り、スマートフォンを手に近づいてくる藤宮弘也の姿を認めると、口角を上げて笑みを浮かべた。

「来るなら来ればいい。何も驚くことではないさ。君の部下たちは先に撤退させたまえ。ここには私とニックの二人しかいないのだからな!」

桜井有菜はまだベッドにうつ伏せになっており、藤宮弘也がすでに玄関先まで来ていることなど知る由もなかった。

「疲れたのか?」

桜井有菜は「うん」と小さく声を漏らした。その響きには、ありったけの悔しさと甘えが滲んでいる。

藤宮弘也はふっと笑い、目の前の玄関ドアに向かって言った。

「出てきてドアを開けてくれ。美味しいものを買ってきたぞ!」

桜井有菜...

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