第187章

ニックはブチ切れ寸前で、そのまま桜井有菜に電話をかけた。

「すぐ来てくれ、殴り込みだ!」

スマホを投げ捨て、ニックはそのまま下の階へ向かった。一方、電話を受けた桜井有菜は一瞬呆然としたものの、すぐさま階段を駆け下りた。ちょうどそこへ入ってきた藤宮弘也が、彼女を正面から抱きとめた。

「どこへ行く気だ?」

桜井有菜は怒りに満ちた顔で睨みつける。

「殴り込みです。止めないで」

藤宮弘也は彼女の体を抑え込み、無理やり靴を履かせた。

「私が送る。焦るな」

桜井有菜は怒りも露わなまま外へ出ると、藤宮弘也に向かって手を差し出した。

「車のキーを貸してください」

藤宮弘也はキーを握る手を...

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