第189章

紫の生家は決して大富豪というわけではないが、由緒正しい医学の家系だった。百年前に海外へ渡って定住し、一族からは医学の天才ばかりを輩出している。

紫の両親は共に中東で国境なき医師団として活動しており、かつてはアフリカにも赴いていた。アフリカ大陸に蔓延したある伝染病の特効薬を開発したのも、実は紫の一族。

だが、紫家は対外的に謎が多く、その後継者の素性が世間に知られることは極めて稀。だからこそ、藤宮弘也も驚きを隠せなかったのだ。

「紫は間違いなく紫家の娘よ。ご両親は今も中東にいるけれど、あそこは情勢が不安定だから、彼女が向かうのは得策じゃないわ!それならこのT市に留まらせたほうがいい。紫はま...

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