第191章

藤宮光は地団駄を踏んで悔しがっていたが、階下からはドッと笑い声が湧き起こっていた。食後、桜井有菜はわざわざ光を連れて書斎に30分ほど引きこもった。そして出てきた時、彼はすっかり大人しくなっていた。

出かける際、藤宮弘也が送っていくと申し出たが、有菜はそれを断った。

「今日は教授に1日付き合うから、仕事に行って。夜は……教授があなたに会うかもしれないから、その……」

「夜のことは私が手配する。君は自分の用事を済ませてきなさい」

そう言い終えるや否や、弘也は再び光に視線を向けた。先ほどまでの柔らかく甘やかすような眼差しは、一瞬にして氷のように冷酷なものへと変わった。

「お前、叔母さんを...

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