第200章

藤宮弘也と藤宮明司はほっと息をついた。桜井有菜がいてくれて本当に良かった。彼女がいなければ、祖父の異変に気づくことすらできなかっただろう。そう思うと、藤宮弘也は急いで階段を駆け上がった。寝ている桜井有菜の姿を目にして、彼は口角をわずかに上げると、そのままベッドに上がり、彼女の隣に横たわってその体を腕の中に抱き寄せた。

桜井有菜はまどろみながら、まだ寝言をつぶやいていた。

「一時間だけ、一時間だけ寝かせて……」

「ああ」

今日はやるべきことが山積みだった。徹夜明けではあったが、桜井有菜を抱きしめているうちに、藤宮弘也も彼女と一緒に眠りに落ちていった。

一時間と言えば、きっちり一時間。...

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