第207章

差し出された品々を見下ろし、藤宮弘也はわずかに意外そうな眼差しを長老たちへ向けた。野原の老婆は言うまでもなく、桜井有菜の嫁入り道具に一役買っている。斉藤家の老婦人に至っては、自身の腕からはずしたばかりの腕輪をそのまま与えたのだ。紛れもなく値打ちのつけられない代物である。

「目上の者からの贈り物だ。受け取っておきなさい」

実際のところ、名門の当主ともなれば、金銭そのものに執着する者は少ない。彼らが真に価値を見出しているのは、桜井有菜の並外れた医術なのだと弘也は推測した。何しろ、あの江川の弟子という肩書きは、どれほど金を積もうとも手に入るものではない。

婚約の宴が終わる頃には、有菜は虚脱寸...

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