第208章

 桜井有菜にとって、それは意外なことではなかった。ただ、今回は一体誰が来るのか、それだけが分からなかった。

 「長い糸を垂らして大魚を釣るのよ。成田おじさんに頼んで滞在先を手配してもらうから、私のスキャナーで古い屋敷を調べてみて。きっと驚くような発見があるはずよ」

 古い屋敷へ向かうことは、すでに夕食の席で藤宮家の面々に伝えてあった。実のところ、桜井有菜はしばらく藤宮家から離れたいと考えていた。いくら婚約しているとはいえ、未婚の男女が一つ屋根の下で暮らすのは、やはり体裁が悪いからだ。

 それに、これから彼女がやろうとしていることには危険が伴う。自分の事情に藤宮家を巻き込みたくはなかった...

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