第210章

桜井有菜は冷笑を浮かべた。その手の言い種には、とうの昔に免疫ができている。桜井浩明が財産を要求しにやって来たのを皮切りに、桜井城、そして桜井の祖父に至るまで、誰もが口を揃えて千早家の財産について言及してきた。しかし、彼らは知る由もなかった。いわゆる千早家の財産など、もはや千早家とは何の関係もないという事実を。

間もなく警察が到着した。散乱する店内と負傷者の姿を確認するや否や、その場にいた全員が警察署へと連行された。

「拘留だと? どういうことだ! 俺の部下を傷つけたのはあの小娘だろうが。骨まで折られてるんだぞ。犯人を捕まえるどころか、被害者の俺たちを閉じ込めるなんて、一体どういう理屈だ!...

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